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マリアーノ・シグマン:言葉から、あなたの将来のメンタルヘルスが予測できるとしたら?
Mariano Sigman:Your words may predict your future mental health

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今月のプレゼン:概要とおすすめポイント

私たちが今話している言葉、書いた言葉から、将来の精神状態や精神疾患の発症までもが予測できたとしたら?ブエノスアイレス大学統合神経科学研究所の創設者であり、神経科学者のマリアーノ・シグマンは、“言葉をマッピング”する方法を用いて、文章や発する言葉の客観的・定量的な分析を試みています。「関連している単語は、同じセンテンスや段落、文書の中に、単なる偶然を超えた頻度で現れる」という仮定に基づいたものです。たった数個のレンガから古代ギリシャの都市の姿が再現できるように、この方法で、古代ギリシャの伝承古文書から古代ギリシャ人の内省の歴史を分析することができたといいます。
シグマン氏は、この方法を応用、一般化することによってさまざまな分野に活かすことができると期待を寄せています。実際、34名の統合失調症の発症リスクの高い若者を対象に、録音された発話の分析を進めました。対象は、今後3年間のうちに精神疾患を発症するかどうかです。果たしてその結果は…?
プレゼン術としての注目ポイントは、「語りたいことの多くを資料に残さない」「『体の部位』と『距離や時間』を表すときは必ず手で表現をする」です。

「ワンポイントプレゼン術 ①」 語りたいことの多くを資料に残さない

私たちは「話そうとする内容」を丁寧にまとめて資料にしがちです。それは第一に自分自身が話そうとすることをまとめるため、そしてもう一つの理由は相手に伝えるためです。しかし、ここが大きな間違いなのです。多くの情報を資料として記述しプレゼンテーションで見せてしまうと、聴講している人たちはその資料を読もうとしてしまうのです。資料は読ませるものではなく、見せるものです。その見ている資料を言葉で説明すべきなのです。マリアーノのプレゼンテーションは、古代の話から研究検証結果など、時間いっぱいに多くのことを話そうとしていますが、使われているのは検証結果を含むわずか5つのグラフだけなのです。最初(4:22)には単語の一覧、続いてそれらを分類・分析した結果(4:45)、さらに言葉の近い・遠いを表現するグラフ(5:28)と続きます。解説や説明、自分の意見などは一切スライドに残していません。言葉で説明しているのです。こうすることで聴講者がプレゼンテーションに耳を傾けるようになるのです。特に言葉の距離を表しているグラフにおいてはわずか10秒(5:28~5:40)しか表示していません。すぐにスライドを消しています。こうすることでプレゼンテーション中に、どうしてもスライドの内容ばかりを気にしてしまう聴講者から、話している本人へと目線を奪っているのです。プレゼンテーションは、①スライドの内容、②話をしている人そのもの、③届けられる声・言葉によってでき上がっており、それらのバランスが良くなることで、さらに相手の印象に残りやすくなります。プレゼンテーションで話したいことすべてをスライドに書き残すのではなく、スライドの内容と声・言葉をうまく組み合わせて伝えるのがプレゼンテーションの基本です。スライドには伝えたいエッセンスやキーワードなどの短い単語を並べて置いたり、印象に残りやすい図版などを盛り込み、それらを声・言葉で解説するという役割分担が良いでしょう。

「ワンポイントプレゼン術 ②」 「体の部位」と「距離や時間」を表すときは必ず手で表現をする

部位(場所)と距離(長さ)は身振り手振りで

文字や言葉だけで表現するのではなく身振り手振りで表現するのも重要なプレゼンテーションのテクニックです。マリアーノは自らの手を常に動かしながら活発なプレゼンテーションを行っています。なかでも特徴的な動きが、「体の部位」と「距離や時間」を表現する方法です。「体の部位」を表すときにはさりげなくその部位を指差すのです。マリアーノは実際に、聞くと表現するときには「耳」を(1:46)、私たちと言っているときには「胸」を(8:39)、心拍数と言っているときには「心臓」を(8:48)指差しています。そして、手のもう一つの役割が「距離や時間」を表現するときです。遠い・近いを説明するときには手を広げたり、手を近づけたりし(3:32)、数ヵ月後や数年後といった長い時間を表すときには、手を大きく広げるのです(8:42)。3年後と表現するときも(9:32)、遠くへと表現するときも(10:15)、手を大きく広げています。こうすることで距離や時間の長さがプレゼンテーションにおいてどういう意味をもつのかが分かりやすく表現できているのです。

「使える英語フレーズ ①」 very wild and radical hypothesis

日本語訳:
非常に奇抜で過激な仮説
該当動画部分:
1分24秒

説明:

「wild」は「野生の」とか「自然なままの」という意味のほかに「とっぴな」「的外れな」という意味があり、「楽しげな」「愉快な」という意味合いを含んだポジティブな表現に用いることができます。「radical」は「過激な」という意味で、これらを組み合わることで「とんでもなくユニークな」と表現することができるのです。「wild」はいろいろな修飾語と組み合わせることができる便利な形容詞です。

「使える英語フレーズ ②」 But despite our hopes, we got failure after failure

日本語訳:
しかし期待に反して、結果は失敗に次ぐ失敗でした
該当動画部分:
9分36秒

説明:

精神的な変調を予見できるかどうかの実験で、期待していた結果が全く得られなかった、という表現で使われています。前置詞「despite」を含む「despite our hopes」つまり「期待に反して」という表現はとても便利で使い勝手の良い表現です。そしてその結果が大失敗だったことを印象付ける「failure after failure」が続きます。〇〇 after 〇〇という表現は、それらが続く状態を意味するので、「success after success」であれば成功に成功が続く様子が表現できます。とても簡単で初歩的な表現ですので、検証や実験、治療などの説明時に使ってみると良いでしょう。

プレゼン解説

西脇 資哲氏

西脇 資哲

日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト
京都大学 iPS細胞研究所 コミュニケーションアドバイザー

マイクロソフトにて多くの製品・サービスを伝え広めるエバンジェリストとして勤務する傍ら年間250講演、という圧倒的実績を持つNo.1プレゼン講師として知られている。
企業・大学・省庁などでの講演や、著名人へのプレゼン指導を行う。
著書に「エバンジェリスト養成講座~究極のプレゼンハック100~」「プレゼンは「目線」で決まる」などがある。

著書